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3年半がかりで書いている書籍の前書きをご紹介します

あまりにも、遅筆すぎてなんの自慢にもならないのですが、2020年5月に英治出版で企画承認をいただいた「ビジョン・プロセシング(仮)~人と組織の「未来と向き合う力」をどう育むか~」の原稿の初稿を先日書き終えることができました!
「思いこもってますので、応援のほどお願いいたします!」の気持ちを込めて、今回は出来立てほやほやの『前書き』を共有させていただきます。
(ちなみに、出版は来年2023年5月の予定です。)
内容いかんにかかわらず、応援するよ!という方は、「スキ!」やコメントをいただけると励みになります。
長文になりますが、どうぞお付き合いくださいませ。

■はじめに

「とらえどころがなく、先行き不透明な時代の中にあっても、しなやかさをもって歩み続けていくために、私たちに本質的に問われていることは何だろうか?」
これが本書の中核をなす問いです。

「環境の変化が激しさを増している」、「変革なくして明日はない」、「イノベーションは喫緊の課題だ!」といった「環境が変化しているのだから、今すぐ、変わるべし」という「変化ゆえに変化」というメッセージは、1990年代初頭から叫ばれ続けていることもあり、もはや何の真新しさもないばかりか、「そこまでして変化したり、成長したりして何になるんでしたっけ?」という白けたムードの裏返しであるかのように「自分らしく生きる」という言葉が2010年代ごろから登場し始め、いまや主役となっています。

「他者と比べることなく、自分の個性を大切にしながら自分らしく生きる」ことは心にゆとりを持ち、充実した人生を送る上で欠かせない要素であることは間違いありません。
しかし、気候変動による豪雨災害や干ばつ、地政学的な不安定さによる生活へのダメージ、テクノロジーの急進的な進化による格差の問題など、どこに暮らしていようとも、逃げも隠れもできないかのような影響が誰の身にも迫っているのも確かです。

「自分らしく生きる」という言葉が「無理をしない」という意味と同一化されていればいるほど、「そんなに現状って甘かったっけ?」、「そのゆるーく生きたツケは誰が払うんだっけ?」という耳をふさぎたくなるような漠然とした不安も心のどこかによぎります。
だからといって、「激動する環境変化の中で、変化するとはいったい何をどうすることなのか?」、「変化しなければいったい何が起こることになるのか?」、「そもそも、自分らしさと変化を両立させることはできないのだろうか?」といった疑問に答えてくれる言説に出会うこともほとんどありません。
私自身、一人の生活者として、職業人として、経営者として、地球市民としてこうした問いと向き合いながら、一つ一つ自分なりに言葉を紡いで著したのが本書です。

私は20数年にわたり、リーダーシッププロデューサーという独自の肩書で、個人向け・法人向けにリーダーシップ開発と組織開発のお手伝いをさせていただいてまいりました。
人と組織の進化を支援するのが私の仕事の価値だといえますが、これらの問いに否応なく向き合い続けてきました。
しかも、ただサービスを提供するというより、環境変化の激しさの中で翻弄される人々の悩み、愚痴、不平不満、不安、悲しみ、そして喜びに直接、触れさせていただく日々を送らせていただきました。
プロフェッショナルとしてサービス提供をしているだけのはずが、誰にとっても難題である疑問に共に悩みながら向き合い続けてきたために、結果的にフィールドワークになっていました。
従って、本書でご紹介させていただいている私なりの考察の一つ一つは、机上で頭でっかちに考えたものではなく、自分自身を含めた誰かの悩みと向き合いながら、実際に誰かに語り掛け、対話し、その人たちの心に実際に響いてきたことを紡いでいます。
従って、本書で書いていることが答えだというつもりは毛頭ありませんが、「そう考えてみる価値はあるかもしれない」という考えるヒントになるかとは思います。

経営者など何らかの責任を負った立場にある方やビジネスパーソンを対象に本書を著しているために、内容的に組織運営に偏った構成にみえるかもしれません。
しかし、根底にあるテーマは「自分らしさとリーダーシップの統合と共創(コ・クリエイション)の実現」であり、とらえどころの無い時代の中であっても、誰かと手を携えながら、唯一無二の存在として自分の人生を全うしていきたいと願うすべての人々への限りない私からのエールです。
本書は情報収集、知識・教養を増やすためというより、今後に向けた新たな方向性を見出したいとき、行き詰まりを感じ、藁をもつかみたい気持ちになったときなど、「滞った流れに何らかの方向を与え、流れをうねりに変えていきたい」と心の奥底で願ったときに手を取っていただける書籍を目指しました。
本書が末永く皆様のお役に立てることを心より願っております。

                     2022年11月吉日 中土井 僚

★書籍「ビジョン・プロセシング」2023年5月発行予定!
詳しくはこちら:https://amzn.to/3UGRbKL


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