【LinkedIn独自調査】逆風にも負けない日本のスタートアップ10社
写真:Getty Images/Tirachard Kumtanom

【LinkedIn独自調査】逆風にも負けない日本のスタートアップ10社

時代の最先端を走り、ビジネスの未来を映し出すスタートアップ。今年で4回目となる「LinkedIn Top Startups(トップスタートアップ)」では、インフレと不安定な経済が社会に広がる中でも困難を乗り越え、イノベーションを起こし続ける注目のスタートアップ10社を紹介します。 

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ランキングの特徴は、リンクトインの実データに基づいていること。スタートアップに転職した人や求人に対する反応などを集計し、勢いのある企業を順位付けしました。具体的な基準とは、(1)「社員数の伸び」(2)「企業と社員への興味」(3)「求人への関心」(4)「トップタレントを惹きつける力」——の4つ。優秀な人材の興味を引き、実際に獲得したスタートアップのランキングです(調査・評価方法の詳細については記事末尾に記載しています)。

今年はコロナ禍に加えて、ロシア軍のウクライナ侵攻による世界的な景気減速への懸念から、多くのスタートアップが厳しい環境に追い込まれています。しかし革新的なアイデアは不安定な時代にこそ生まれる、という説もあります。今回ランクインした、チャレンジを続けるスタートアップには、次のいずれかの特徴があります。

1つ目は人工知能(AI)技術を事業に実装していること。AIを武器にするスタートアップは年々増えていますが、今回のランキングでは、その活用の裾野がより広がっています。1位のアセントロボティクス、2位のRapyuta Robotics(ラピュタロボティクス)、4位のTelexistence(テレイグジスタンス)、5位のDeepXはそれぞれ製造や物流、小売や建設の分野で従業員をアシストするロボットを開発・製造。AIを使って働く人の身体的な労働負担を軽減する製品やサービスを提供する企業が上位を占めました。3位のSynspective(シンスペクティブ)は、衛星を使った地表解析で土地の測量や地盤の分析を行うなど、AI活用の場面も多様化しています。労働力や労働時間の軽減に加え、人手不足の問題にも応えるソリューションとして、企業の需要が高まっています。

2つ目は、企業のデジタル・トランスフォメーション(DX)を支援するサービスです。社内業務のIT化・自動化だけでなく、社外を含めた業務プロセスの変革を指すDXの推進は、官民問わず喫緊の課題です。そんな状況を背景に、6位のキャディは製造業の部品調達を支援するプラットフォームとして注目を集めています。9位のShippio(シッピオ)は国際物流に関わる実務のデジタル化を支援し、煩雑な貿易業務を効率化するサービスを提供しています。

最後は、コロナ禍を経て新たに生まれた消費行動をビジネスとして的確に捉えた企業です。この数年で定着した、「ステイホーム」「非接触」などの新しい生活様式を実現する事業を手掛けています。7位のZeals(ジールス)はチャットボットによる質の高い接客を、8位の10Xはオンラインでも実店舗と変わらない購買体験をそれぞれ可能にするための製品・サービスを提供しています。10位のZAIKOはデジタルイベントやライブ配信のプラットフォームとして、コロナ禍以降に伸びているホームエンターテイメント領域で存在感を増しています。

今後の飛躍が期待される注目のスタートアップ。結果についての感想を、ぜひ次のハッシュタグをつけてシェアして下さい。 #LinkedInTopStartups、 #トップスタートアップ

今年の「トップスタートアップ」は、日本を含む34の国と地域で実施しています(アイルランドアメリカアラブ首長国連邦アルゼンチンイギリスイスラエルイタリアインドインドネシアエジプトオーストラリアオーストリアオランダカナダコロンビアサウジアラビアシンガポールスイススウェーデンスペインチリデンマークドイツトルコナイジェリア、日本、ニュージーランドフィリピンブラジルフランスベルギーポルトガル南アフリカメキシコ)。他国のランキングも是非ご覧ください。

それでは今年のランキングを見ていきましょう!


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社員数:30人*|本社:東京都|創業:2016年|社員が身につけている主なスキル:開発ツール人工知能 (AI)データサイエンス|リンクトイン内で多く見られる職種:エンジニアリング、人事|自律AIソリューションを提供:AI(人工知能)や機械学習を活かしたロボットピッキングシステム「Ascent Pick」などを開発する。「プレイステーション」の開発を指揮した元ソニー・コンピュータエンタテインメント会長の久夛良木健氏が2020年9月からCEO(最高経営責任者)を務める。

アセントロボティクスの求人を見るアセントロボティクス社員とのつながりを探す


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社員数:170人|本社:東京都|創業:2014年|社員が身につけている主なスキル:開発ツール人工知能 (AI)、ロボティクス、|リンクトイン内で多く見られる職種:エンジニアリング、事業開発、プログラム/プロジェクトマネジメント|ロボット間のチームワーク向上:複数ロボットをクラウド上で協働・連携させるプラットフォームと、そこで稼働するピッキングアシストロボット(AMR) による「サービスとしてのロボット」を、 RaaSソリューションとして開発・提供する。今年6月には導入後の生産性に応じて利用料が変動する成果連動型の料金体系を業界で初めて導入した。

Rapyuta Robotics(ラピュタロボティクス)の求人を見るRapyuta Robotics(ラピュタロボティクス)社員とのつながりを探す


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社員数:170人|本社:東京都|創業:2018年|社員が身につけている主なスキル:開発ツールプロジェクトマネジメントデータサイエンス|リンクトイン内で多く見られる職種: エンジニアリング、事業開発、研究|大地のデータを高精度で解析:昼夜を問わず地表面を観測可能な小型のSAR衛星を開発・運用し、その観測データによる自然災害の被害解析や洋上風力発電に必要とされる遠洋海面付近の風力測定など各種ソリューションを提供する。2022年9月には3機目となる実証商用機 StriX-1 の打ち上げに成功した。

Synspective (シンスペクティブ)の求人を見るSynspective (シンスペクティブ)社員とのつながりを探す


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社員数:非公開|本社:東京都|創業:2017年|社員が身につけている主なスキル:開発ツール、機械加工、ロボティクス|リンクトイン内で多く見られる職種:エンジニアリング、事業開発|人間とロボットの関係向上:「人間の存在を拡張する技術システム」としてのロボットのハードウェア、ソフトウェア、AI、遠隔操作の技術を自社一貫開発している。2022年8月からは、商品陳列を行う人工知能ロボット「TX SCARA」の量産を開始し、ファミリーマート300店舗へ順次導入予定。

Telexistence(テレイグジスタンス)についてもっと知るTelexistence(テレイグジスタンス)社員とのつながりを探す


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社員数:50人|本社:東京都|創業:2016年|社員が身につけている主なスキル:開発ツール人工知能 (AI)データサイエンス|リンクトイン内で多く見られる職種:エンジニアリング|生産現場の課題にAIで対応:ディープラーニング (深層学習)AIを駆使して、あらゆる機械の自動化を目指す。土木や食品加工、農産など、自動化需要が高まる領域において深層学習イノベーションを支援する。NVIDIA Inception Programの認定パートナー企業として、NVIDIA社の最新ハードウェアなど、AI製品開発を促進する支援を受けている。

DeepXの求人を見るDeepX社員とのつながりを探す


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社員数:410人|本社:東京都|創業:2017年|社員が身につけている主なスキル:開発ツールプロジェクトマネジメントデータサイエンス|リンクトイン内で多く見られる職種:運営、エンジニアリング、プログラム/プロジェクトマネジメント|受発注最適化プラットフォームを提供:多品目の部品調達が必要な製造業の現場において、発注者へ短時間で見積もりを提供し、受注候補の企業へとつなぐプラットフォーム「CADDi」を開発・運営する。煩雑な調達業務から顧客企業を解放すると同時に、積極的にパートナー工場を支援することによって「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」ことをミッションとしている。

キャディの求人を見るキャディ社員とのつながりを探す


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社員数:260人|本社:東京都|創業:2014年|社員が身につけている主なスキル:開発ツールウェブ開発データサイエンス|リンクトイン内で多く見られる職種:エンジニアリング、プロダクトマネージメント、アート/デザイン|チャットボットの「おもてなし」を世界へ:AIチャットボットと緻密なコミュニケーションデザインで、人間同様の温かみある接客体験を実現するチャットコマース「ジールス」を開発・提供する。国内では400社以上での導入実績があり、2022年9月にはアメリカに法人を設立。日本の「おもてなし」を海外に広げていく。

Zeals(ジールス)の求人を見るZeals(ジールス)社員とのつながりを探す


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社員数:80人|本社:東京都|創業:2017年|社員が身につけている主なスキル:データサイエンス開発ツールプロジェクトマネジメント|リンクトイン内で多く見られる職種:エンジニアリング、事業開発、マーケティング|小売りチェーンのEC化を支える:小売チェーンのオンライン事業立ち上げと運営を支援するプラットフォーム、「ステイラー」を開発・運営する。消費者にスムーズな購買体験を提供するだけでなく、在庫管理やオペレーション改善など事業者側のDX化推進もサポート。イトーヨーカ堂をはじめ、大手小売チェーンでの導入が進んでいる。

10Xについてもっと知る10X社員とのつながりを探す


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社員数:50人|本社:東京都|創業:2016年|社員が身につけている主なスキル:ウェブ開発開発ツール人間対コンピューター相互作用|リンクトイン内で多く見られる職種:エンジニアリング、販売、プロダクトマネジメント|国際物流を円滑化:日本初のデジタルフォワーダーとして、国際物流に関わる業務をクラウド一元管理で可視化・効率化するサービスを提供。アナログ主体だった貿易業務の大幅な負担軽減を実現している。不安定な現下の国際情勢において物流の安定稼働に貢献することを目指す。

Shippio(シッピオ)についてもっと知るShippio(シッピオ)社員とのつながりを探す


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社員数:65人|本社:東京都|創業:2019年|社員が身につけている主なスキル:開発ツールグラフィックデザインデジタルマーケティング|リンクトイン内で多く見られる職種: エンジニアリング、アート/デザイン、事業開発|クリエイターとファンの関係をより緊密に:クリエイターとファンが直接繋がれるプラットフォーム「ZAIKO」を軸に、デジタルイベントの開催や動画配信、NFTマーケットプレイスなどの製品・サービスを提供する。多様性を重視するカルチャーで、国籍をはじめ様々なバックグラウンドを持つ社員が顔を揃える。

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ランキングの分析手法について

リンクトインでユーザーのデータを4つのポイント——「社員の増加率」、「企業や社員への興味」、「求人への関心」、「トップ人材を惹きつける力」——に基づいて分析しました。調査期間は、2021年7月1日から2022年6月30日まで。情報は匿名化し、個人情報保護に十分配慮して処理しています。各ポイントの詳細は以下の通りです。

①社員の増加率:リンクトインに登録している社員が前年同時期に比べてどの程度増加しているかを測定します。最低でも10%増えていることが条件となります。

②企業や社員への興味:その企業のリンクトインページがどの程度フォロー/閲覧されているか、社員のアクティビティ(投稿やシェアなど)やプロフィールが、どれだけ他のリンクトインメンバーから閲覧されているかを基に算出しています。

③求人への関心:リンクトインに掲載した求人に対して、当該社員以外のメンバーがどれだけ閲覧し、実際に応募したかを測定しています。

④人材を惹きつける力:リンクトイン上で最も魅力的な企業を調査する「TOP COMPANIES(トップカンパニー)」(2022年版)にランク入りした企業から、どれだけの人材が入社しているかを集計します。

調査対象としたスタートアップの条件は、リンクトインのカンパニーページを開設している企業の中で、創業8年以内であること、30人以上の社員を雇用していること、非上場企業であること、日本に本社を置いていることを必須としました。人材派遣会社、シンクタンク、ベンチャーキャピタル、法律事務所、非営利および慈善団体、アクセラレーター、政府所有の事業体は除いています。また、調査期間中に社員の20%以上を解雇したスタートアップも対象外としています。

企業データについて

*ランキングの対象となる企業情報(社員が身につけているスキル、積極的に採用している分野)はリンクトインの採用支援ツールであるLinkedIn Talent Insightsを基にしています。日本国内で登録されているリンクトインメンバーの公開プロフィールに掲載されているデータを集計したものであり、これには当該企業に在籍する正社員が含まれます(パートタイムや契約社員は対象外)。社員数は、*印で注記されていない限り、企業から提供された情報を使用しています。*印の情報は、リンクトインの2022年6月時点の企業データに基づいています。スキルデータは、その企業の社員に最もよく見られるスキルを集計し、導き出したものです。多く見られる職種は、各社内で最もよく見られる職務領域を集計したものです。

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− LinkedIn News 編集部 蛯谷敏 (Satoshi Ebitani)佐々木希世 (Kiyo Sasaki)池田美樹 (Miki Ikeda)

(選考・分析:LinkedIn Economic Graphチーム)

Shusuke Murai

Professional in "3Cs" = Content creation, Community management, Communication strategy

1y

今回も、とても興味深いランキングですね!特に製造や物流、小売といった分野でのロボット関連企業が多くランクインしているところが、いかにも日本らしいと感じました。 世界の金融市場は逆風の様相を呈しています。ですが、あらゆる産業を支えるこれらの分野のスタートアップ躍進が、日本企業の新たな世界躍進へのきっかけとなるのではないかと想像すると、なんだかワクワクしますね!

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