みょうじなまえ個展「Some Fairy Tales」

人形の家/インスタレーション/可変サイズ/2022年

会期:2022年4月2日(土)-2022年4月24日(日)

13:00-19:00 月-火曜休廊

〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-10-1サンデシカビル1階


 この度、TAKU SOMETANI GALLERYでは、みょうじなまえ個展を開催いたします。

 約2年ぶりの個展となる「Some Fairy Tales」では、H.イプセンの戯曲「人形の家」と作者の母にまつわる記憶を元に作られた新作インスタレーション作品を公開します。

 ファッションとジェンダーを切り口に、日常に潜む規範によって縛られ形作られていく自己と、そこから紡ぎ出される物語をひとつの舞台として表現します。


・ステートメント

かつてバタイユは「人間の生の真の目的は非生産的な消費(例えば奢侈、葬儀、戦争、祭典、豪奢な大建造物、遊戯、見世物、芸術、生殖目的から逸れた性行為)にある」と言いました。しかし私たちが生きる現代の世の中では、人間の存在や芸術の在り方というものは、外面的には消費とはまるで対極にあるかのように定義されています。なぜそれらが消費構造から逃れ得るものだと信じられ、また、そう人々に望まれているのでしょうか。そういった問いや、自身のこれまでの体験を契機として、作者は女性の身体、性、アイデンティティをめぐる問題をテーマに作家活動を行なっています。


●作品解説:

ビデオインスタレーション作品「人形の家」は作者の母にまつわる記憶と、イプセンの同名の戯曲「人形の家」※などを元に作られた作品で、

主人公である「着ぐるみ人形」を通して紡ぎ出された物語をひとつの舞台として表現しています。

「着ぐるみ」とは人体着用ぬいぐるみの略称であり、その名前の通り、人形と被服というふたつの性質を備えた装いです。

作中で使用される衣装や小道具は各々に課せられた「役割」や「演技」などを表しており、これらを身に着けた登場人物は、他者から押し付けられた主体、まさに「人形」として振る舞うことを強いられています。

ある物語から別の物語へと行き交うように、人は誰もが日々を過ごす上でその相手や場面、役柄、衣装を様々に替えながら他者と物語を共有して生きています。

それは自分が誰かの友人であること、伴侶であること、師であること、親であるということです。

 Personという語の第一の意味が「仮面」であるのは単なる歴史的偶然ではなく、私達には属するコミュニティの数だけ社会的自己があり、日々役割という名の衣服や仮面を纏いながら自己を築き合い、その舞台の上で生きているという事の証でしょう。

そして何らかの共同体の一員として他者と共存しながら社会を生きる以上、私達はそれぞれの役割を完全に廃することはできず、肉体そのものに深く根付いた演技とラディカルな距離を置くこともできません。

人形から抜け出た主人公は、果たして「本当の自分」を見つける事ができるのでしょうか。

※ 戯曲「人形の家」

1879年、デンマーク王立劇場で上演された。新たな時代の女性の姿を世に示したH・イプセンの代表作。全3幕。

弁護士ヘルメルの妻ノラ(主人公)がある出来事をきっかけに、それまで夫の愛情だと信じていたものが、

実は自分を人形のように可愛がっていただけの行為であり、一人の人間として対等に観られていないことに

気づき、夫の制止を振り切り家を出奔するまでの物語。

リアリズム演劇あるいは近代劇の代表作品であり、同時にしばしばフェミニズム運動の勃興とともに語られる。

西欧内部だけでなく、アジア諸国の女性解放運動や、それらをテーマにした創作物に多くの影響を与えた。


・CV

みょうじなまえ

2019年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業

個展

2020年

「あなたのような誰か」 TAKU SOMETANI GALLERY

グループ展

2021年

「 Any Kobe with Arts 2021」

「 Familiae Sylvanian」 Art Lab TOKYO

2020年

「SHIBUYA STYLE vol.14」 西武渋谷オルタナティブスペース

「 NEW NEW NEW NORMAL」 Gallery MoMo Projects

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