HOME / 自律訓練
自律訓練法は、シュルツ博士の催眠の研究から検討がはじめられた方法です。 この『自律訓練法』にじっくり取り組むことにより、全身の緊張を自分自身で解くことが期待され、心身の状態を自分で調整できるように考えられています。 この方法は、すぐにできるようになるわけではありませんが、少しずつ練習していくことによって健康増進だけでなく、ストレス解消、そのほか幅広い心身の不調への自己管理に用いられています。 自律訓練法は、楽な姿勢を取った状態で、いくつかの言葉を頭の中で繰り返し、その感覚を体の状態で感じ取ることで行われます。
自律訓練を行う際は、静かな場所で、ご自身が落ち着ける場所を選びます。気温も暑すぎたり寒すぎたりしないことが大切です。
実施する場所が決まった後は、いきなり自律訓練を開始するのではなく、まずは大きく深呼吸しましょう。肩や首を回しながら、全身の力が抜けているか、色々なことを思いめぐらせていないか…ほんの少しの間ですが、自身の体の感覚に意識を向け、リラックスしましょう。
はじめは、基本の座位姿勢から始めます。慣れてきたら、仰向けで寝たり、リクライニングでやってみたりなど、自分に合った方法を見つけて行いましょう。また、手足が冷たかったり、どこかに痛みがあると初めのうちは自律訓練に集中することが難しいため、体調が良い時に改めて行いましょう。
自律訓練法は、決まった言葉を自分の心の中で唱えながら行います。この決まった言葉のことを「公式」といいます。公式は全部で6つの段階がありますが、次々と進めるのではなく、公式の言葉を自身で感じ取れてから、次の公式に進みましょう。取り組み時間は、1つの公式で、だいたい5分程度から、長くても10分程度にしましょう。たとえ公式の言葉どおりに感じ取れなかったとしても、「そんなものかな」というくらいに受け取り、長い時間をかけて頑張る必要はありません。
自律訓練をする際の全体的なポイントは、「そんな感じがする」という「受け身の姿勢」です。そのように感じなければならないとか、感じるように努力するのではなく、「そんな感じがしたなあ」と思えたら、うまくいっているということです。例えば、こたつに入って「足が温かい」と感じるようなイメージや、ぬるま湯に手を入れたら、「手が温かい」と感じるように、受け身で感じてみましょう。力がうまく抜けないときは、逆にいったん全身をこわばらせるくらい体全体に力をいれ、しばらく疲れるまで力を入れ続けます。そのあと、「ばっ」と力を抜くと、うまく全身の力が抜ける場合があります。全身の力が抜けていることを確認出来たら、第一公式から始めていきましょう。
・自律訓練の公式音声のみご確認されたい方は、こちら。
手は太もものあたりに置くと「重力」を感じやすく、分かりやすいかもしれません。肩に力が入っていると、自然と手を持ち上げてしまうことが多いので、ひじから指先の力を十分に抜き、リラックスしましょう。重力によって重みがある状態にすると、手が「重たい」と感じやすくなります。
こちらが第一公式の音声です。
太ももなど、手が身体のどこかに接していると「体温」を感じやすいです。手が冷たい場合は、事前に温めるなどして、温かさを感じ取りやすくしておくのも一つの方法です。最初の段階から落ち着いている状態であれば、本当に手もあたたかくなってきます。足の時は、床についている足の面を意識すると取り組みやすいです。足の面に、足の重さによる圧迫感を感じると思います。
こちらが第二公式の音声です。
座位だとちょっと感じにくい場合があります。感じやすくするきっかけとして、体の小さな振動を感じ取るところから始めてみましょう。
こちらが第三公式の音声です。
座位の場合は、姿勢と脱力を再度、確認しましょう。『楽に呼吸している』というのはどういう状態なのかわからない場合は、「腹式呼吸」を意識しましょう。鼻から吸って口からはく。胸を膨らませる呼吸ではなく、おなかを膨らませるような呼吸を意識しましょう。この呼吸の仕方は、公式でいきなり取り組むというよりも、呼吸の練習を何度かした後に、実際の自律訓練で取り組まれたほうがうまくいきます。
こちらが第四公式の音声です。
着ている服と、おへそのあたりにある空気に意識を向けてみます。少なくとも「冷たい空気」ではなく「ぬるい」もしくは「体温並み」の温度感であることを感じられるはずです。その温度を「温かい」と感じながら、呼吸をしてみましょう。
こちらが第五公式の音声です。
「涼しい」という感覚は、呼吸している鼻のあたりに「冷たい空気」が入ってくることを感じると、その空気が鼻の周辺、目、額のあたりにもあることを感じられます。鼻から息を吸うときに冷たさを感じて、それが広がっていることを感じると、額の涼しさを感じやすくなります。
こちらが第六公式の音声です。
全体として、途中で難しくなったらやめて、消去動作をしましょう。自律訓練法は、自己催眠のようなところがありますので、ちょっと眠くなったり、体がふわふわしたりすることがあります。そのまま日常生活に戻るのではなく、いったんその感覚を消す動作をします。伸びをして、体のあちこちを回したり、力を入れたり抜いたり、軽くたたいたりします。すっきりした感じがあったら完了です。
慣れてきたら、自分のペースで、自分が取り組みやすい間をおいて、行ってみることをお勧めします。自律訓練法は、うまくできるようになるには3か月ほどかかるといわれています。一気にすべての感覚を扱うのが難しい場合は、ひとつずつ練習し、ゆっくり、継続的に取り組んでいきましょう。